波の仕切り

隅田川花火大会の魅力と舞台裏

江戸時代から続く伝統の花火

 隅田川花火大会は、日本最古の花火大会の一つとして知られています。その起源は江戸時代の「両国川開き花火」に遡ります。江戸幕府の規制により、両国以外での花火大会が禁止される中、この地域に花火文化が深く根付いていきました。時代の流れとともに様々な理由で開催が途絶えることもありましたが、1978年に現在の形で復活し、今まで続く歴史ある花火大会となっています。

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『東都両国ばし夏景色』橋本貞秀/画 横川彫竹/彫(東京都江戸東京博物館所蔵)

町と人々が支える大規模イベント

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 隅田川花火大会は、地域の皆様の協力なしには成り立ちません。商店街や町会、伝統工芸保存会などの皆さんで構成される隅田川花火大会実行委員会が実施主体となり、警察、消防、警備会社など、多くの関係者が連携して大会を支えています。特に、来場者数100万人を超えることもあるこのイベントでは、安全管理が最優先事項となります。
 準備は通年行われており、花火大会が終わるとすぐに次の大会に向けた計画が始まります。運営を担う事務局は、原則として、墨田区と台東区が交互に隔年で担当しており、調整を重ねながら警備の配置や安全対策の構築を行っています。

100万人の安全を守る取り組み

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 隅田川花火大会では、安全対策が徹底されています。例えば、当日の警備体制は、警備員だけで約1,700人が動員され、観客の誘導やトラブル対応にあたります。(*1) また、観客の川への転落を防ぐための侵入防止柵が設置されており、警察や河川管理者と協力しながら万全の対策が講じられています。
 水上では、屋形船の安全管理も重要です。特定の標旗を持つ船のみが規制線内に入れる仕組みを採用し、混雑を防ぎながら、より安全な観覧環境を提供しています。
 *1:警備員以外に、町会関係者やボーイスカウト、都・区職員も警備に協力しています。

増加する外国人観光客への対応

 近年、外国人観光客の増加が著しく、花火大会当日は多くの海外からの来場者が訪れます。そのため、一方通行を示す看板などの多言語対応を進めており、現在は日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で案内を提供しています。今後も多言語対応を強化し、より多くの人々が安全に楽しめる環境を整えていく方針です。

未来への展望

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 今後の技術革新に伴い、花火大会の運営にも変化が予想されます。例えば、SNSを活用した情報発信は既に行われており、2025年3月時点で2.7万人のフォロワーを獲得しています。(公式)隅田川花火大会(@sumida_river_fw)さん / X
 エリア規制に関する地図の多言語対応も検討されているため、訪日外国人にとっても、より分かりやすい情報提供が期待できます。

地域の声と大会運営の関係

 長い歴史がある隅田川花火大会を存続させていくにあたっては、地域の皆様のご理解とご協力が不可欠です。近隣住民の多い都会の真ん中で大規模な交通規制を実施するため、事前に町会や商店街とも調整を行い、地域の皆様の声を反映しながら毎年改良を重ねています。
 道路にポイ捨てされてしまうゴミの対策も重要です。ゴミは持ち帰るよう観客の皆さんに呼び掛けているほか、一部の地域では町会が自主的にゴミ箱を設置するなど、皆さんに大会を楽しんでいただけるよう取り組んでいます。

まとめ

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 隅田川花火大会は、江戸時代から続く伝統と、現代の技術・安全対策が融合した一大イベントです。町の人々、行政、警備関係者など、多くの人の協力によって支えられており、毎年100万人近くの観客を迎えています。今後も日本の夏の風物詩として、多くの人々に感動を与え続けるために、観客の皆様にもご協力をお願いいたします。

【写真について】当記事は、墨田区公式ウェブサイトオープンデータポータルサイト内の写真データを使用して作成しています。